経営が傾けば、企業はいとも簡単に倒産という結末を辿ります。
しかし、愛情を持って育ててきた事業を見す見すと手放すのも心が苦しいものです。
「仮に自身の手で先導できなくとも、事業は継続させたい!」と思ったときには“M&A”を検討してみましょう。
買収と聞けば聞こえが悪いかもしれませんが、企業の出処進退を決める上で大きなメリットのある手段です。
経営者が変われば新しい方向性を見出せます。
下火だった事業でも、新しい指針のおかげで潰えることなく継続が期待できるのです。
加えて事業をそのまま続けるだけでなく、買い手企業のノウハウが融和することで、事業そのものがパワーアップして更なる領域で活躍することも期待できます。
企業の中には“後継者不足”のために、自ら事業を畳む人もいます。
この場合は倒産というより“廃業”の意味合いが強いです。
後継者を育てる・見つける余力がなく止むなしに取りやめてしまう事業でも、M&Aならば買い手企業で後継者を選出して存続できます。
雇用の側面は現代社会で問題視されており、効率的なM&Aは存外多くの企業で臨まれているのです。
M&Aは売り手企業と買い手企業の事業が融和して初めて成立します。
しかし元々別の会社であり、風土・体質・仕事の進め方など、異なる存在が融和するのは簡単ではありません。
特に売り手企業の従業員には、買い手企業のシステムに慣れるためのストレスがかかります。
M&Aが行われた後も事業が変わらずパフォーマンスを発揮し続けるには両者の苦労が不可欠なのです。
融和が起こらないのは事業だけではありません。
従業員は給与・勤務地・仕事内容など働き方のあらゆる側面で買い手企業の意向を反映しなければならず、これまでと全く同じ働き方はできません。
良くなるならまだしも、待遇が想像以上に悪くなる場合もあります。
従業員には職業選択の自由がありますので、意見が合わなければ離職されてしまう危険性もあるのです。
売り手が事業を存続させるためにM&Aを選択する場合でも、買い手にもメリットがあります。
それはローコストでの新規事業開拓です。
例えば電子機器・電子部品の製造に強いシャープが、東芝のパソコン事業を買収したことでダイナブックのブランド力が企業の追い風となりました。このように、買い手も苦労する分メリットがある取引なのです。
倒産を目前にしたとき、選択肢としてのM&Aにはメリットが大きいです。
もちろん買い手にもメリットがあります。
どうしても継続させたい愛着のある事業ならば、一度取引の検討をしてみてはいかがでしょうか。